山崎亮(コミュニティデザイナー)講演会「みんなが主役のまちづくり」

山崎亮氏の講演会

「まちづくり」なんだかいい響きですが、現実はどうなのでしょうか?

僕の町内では、毎年運動会や夏祭り、BBQなどのイベントがあります。青壮年会が中心となって企画・運営をしておりますが、その青壮年会に若い人がなかなか集まらない状態です。

小さい子供がいる家庭にとっては、町内の毎年の行事は歩いて行けて子供も楽しめる良いイベントなのではないでしょうか?でも、イベントがあったら参加するという程度で、企画する側には行きたくないのが正直なところです。

町内の役員、ましては町内会長なんて絶対にやりたくない、というような問題が発生している町内も多いです。町内や地域のつながりを持つとめんどくさい。役員を押し付けられそう。そんなのあってもなくてもいい、と思っている方も大勢おられると思います。

しかし、人が頻繁に出入りする都会ならいざ知らず、この素晴らしき田舎富山ではそうも言っていられません。

昔から人が集まって集落などを作って暮らすのは、その方が便利だからです。

町内で犯罪が起こりにくいのも、火事などが少ないのもそれは人が集まっているからです。帰り道の小学生が安心して下校できるのも、見守り隊が安全を見ていてくれるからです。人が集まるということは、めんどくさい部分はもちろんありますが、そのデメリットを打ち消すほどのメリットとパワーが確実にあります。

あまりうまくいっているとは言えない現代の地域コミュニティ。この問題をどのように解決していくのか、この講演会にはそのヒントがあります。

目次

ハードではなく、ソフトが必要な時代

例えば立派な公民館と、綺麗な公園というようにハードが整っていたとすると、その町内はうまくいくでしょうか?

綺麗だから若い人が集まってきて、いろんなイベントや、地域の困りごとをどんどん解決してくれる。そんなことが起こるでしょうか?

そんなことないですよね?

どんなに立派な公民館でも、どんなに綺麗な公園でも、それを運営する人、つまりソフト面が整わないとうまく機能しません

小さい子供も若い人も年配の方も、すべての人が暮らしやすい環境を作るには、ソフト面をうまく改善していくことが必要なのです。つまり人と人をうまく繋げることができれば、子育ても老後も安心して生活できるようになるのです。

本当の豊かさとは?

例えば、高い給料がもらえるようになって、好きなものが何でも買えるようになったとします。でもそれは、この地球上のみんなが豊かになったと言えるでしょうか?

その製品を作るために、どこかの国の人が劣悪な労働を強いられていないでしょうか?どこかの国の自然が壊されていないでしょうか?

例えば、老後の年金がたくさんもらえるようになったとします。でもそれは、その国の人みんなが豊かになったと言えるでしょうか?

年金が増えたせいで、子供にまわるはずだった様々な手当がなくなったりしていないでしょうか?子育てで一番お金がかかる若者たちの税金の負担が増えたりしていないでしょうか?

ほんの一部の人だけが、豊かになるような社会になっていないでしょうか?

誰かが得をした分、誰かが損をするというのは、本当の豊かさではありません。

毎朝すれ違う時に挨拶をしあう。雨が降ってきたのに洗濯物が取り込まれていなかったら教えてくれる。野菜がいっぱい取れたらおすそ分けしてくれる。困っていたらお互いに助け合う。お互いに豊かになる。

このような社会がこれから必要なのではないでしょうか?

講師プロフィール

山崎亮(やまざき・りょう)
1973年愛知県生まれ。コミュニティーデザイナー。 99年大阪府立大学大学院(地域生態工学専攻)修了。SEN環境計画室勤務を経て2005年にstudio-L設立。現在、studio-L代表、京都造形芸術大学教授。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティーデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。2010年度は「海士町総合振興計画」「マルヤガーデンズ」「震災+design」でグッドデザイン賞、「こどものシアワセをカタチにする」でキッズデザイン賞、「ホヅプロ工房」でSDレヴュー、「いえしまプロジェクト」でオーライ!ニッポン大賞審査委員会長賞をそれぞれ受賞。著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、そのほか共著・編著多数。

1ヶ月の半分以上、日本各地を飛び回り人と人を繋げているコミュニティデザイナーの山崎さんが、その経験を語ってくれる講演会です。

山崎亮氏の講演会

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