映画を見る前に、「みんなの学校」の木村泰子さんの講演会を聞いていたので、より感情移入して観ることができた。
講演会もものすごくよかったので、『「みんなの学校」木村泰子さんの講演会in富山に行ってきた』を是非読んでほしい。
富山県高岡市ふれあい福祉センター(2016.8.27)で、14:50〜の上映を観てきた。本など何も見ていない状態で、あらすじなども全くわからない状態での観覧。それでもすーっと自然に「みんなの学校」の世界に入ることができた。
子供を第一に考えていることが映像からよく伝わってくる。上から一方的に怒ったり命令したりすることもなく、いい意味で子供たちと大人が対等な感じ。世間でいわゆる障がい児と言われる子供たちもとても魅力的。学校が嫌ですぐ逃げ出そうとするセイシロウ、すぐに水や砂を触るまぁちゃん、すぐ暴力を振るう問題児として転校してきたユズキ、暴れているところとか歩き回ったり寝坊したりするところが、自然な子供ってこうだよなって思わせてくれる。
子供相手に我を忘れて怒ってしまい、木村校長から「クビ」だと言われる座親先生の未熟さも親近感がわく。先生も完璧ではなく1人の人間なのだということが伝わってくる。怒って恐怖で支配しようとすれば、もしかしたら子供は一時的に言うことを聞くかもしれない。でもそれでは、根本の解決にはならない。そして怒る時もただ自分の感情のままに怒るのではなく、そこに子供に対する愛情がないといけない。
「座親、廊下で子供相手に大声で怒ってあれはわざとなのか、それとも本気で怒ったのか?」と問う木村校長もさすがだが、正直に「キレてしまいました」と認める座親先生もいい。その後の「座親、お前はクビ!」っていうのもなんだかいい味を出す。この学校では、子供を一番に考えないとダメなのだ。多くの学校では、この当たり前のようなことはほとんど守られず、学校や先生がやりやすいようになっていて、子供は二の次だったりする。
この時の座親先生がクビなのだったら、親や上司のほとんどはクビということになるではないか。この場面で、「いつもの怒りに愛情はあったかな?」なんて自分の行動を振り返って反省する親も多かったのではないだろうか。
個人的にはユズキが問題を起こす場面も良い。大空小学校は、サポーターの地域住民や保護者が通学路に立って子供たちを見守っている。ユズキはよく寝坊をするので、女の子が迎えに行ってそのまま一緒に登校するのだが、サポーターがユズキに「いつも一緒で仲がいいなぁ」みたいなことを言ったので、ユズキが切れて蹴ったのだ。職員室に連れてこられるユズキ。そこで自分がしたことをしっかりと説明して、蹴ったことを反省して先生とそのサポーターの家に謝りに行く。その後、そのサポーターから学校に電話がありユズキの粋な計らいに感動するのだ。何をするかは、実際に映像を見て欲しい。
この映画には、普段私たちが「常識」や「当たり前」になってしまって気づかない、気づきにくい大事なことが詰まっている。大人として親として先生として、普段の行動を振り返り、もっとこうしたほうがいいなと考えさせてくれる。忘れたらいけない大事な視点をくれる。
そして生き生きと人間らしく子供らしく振る舞う子供たちの姿に、心を動かされる。ハンカチなしには見れないとてもおすすめの映画だ。
「みんなの学校」の木村泰子さんの著書
木村泰子さんは、自身の体験とそこから感じたことを著書に記している。
合わせて下記の著書もぜひ手にとってみてほしい。
教育者じゃなくんても、親じゃなくても、僕たち大人が忘れかけている「何か大切なもの」がそこには詰まっている。