2016年11月23日(水祝)富山県高岡市の高岡市民会館で、ジャパネットたかた元社長高田明氏の講演会が開催された。
高岡少年会議所青年部(高岡YEG)の50周年記念のイベントで、「伝える力」〜感動をあなたへ〜というテーマで行われた。
無料なのもあってか会場はほぼ満席、軽く1000人を超える人が参加していた。
今回の講演会で感じた「物を売るための考え方」を僕なりにまとめてみた。
相手に伝わらないと、ないのと同じ
まず一番大事なのは、「相手に伝わらないと、存在しないのと同じ」という考え方だ。
どんなに素晴らしい商品を作っても、その商品のことを誰も知らなければ買うことができない。ビジネスにおいては、世の中の人達に知られて初めて「存在する」と言える。
何はさておき伝えることがものすごく重要なのだ。まずは相手に情報をしっかり伝えて、存在を知ってもらわないと何も始まらない。
常識を疑う
パナソニックの商品で電動歯ブラシの「ドルツ」という商品がある。これは女性の方が買うものと思われていた。しかし、ジャパネットたかたで販売してみると、70代以上の方に一番よく買われた。
高齢者が入れ歯ではなく、自分の歯を残すためにきちんと手入れをしようと購入したのだ。
商品は時に販売者の意図しない層にヒットすることがある。従来の常識にとらわれるのでなく、時代の変化や空気と共にもっと柔軟に常識を疑って、戦略を立てる必要がある。
相手の目線で考える
物を売りたいとき、自分の話したいことを一方的に相手に伝えてしまうことが多くある。
あなたもセースルマンが自社商品のポイントを一方的に話してくる、そんな場面にあったことがあるのではないだろうか?そのときあなたはどう思っただろうか?うんざりしてしまったのではないだろうか?
これは、自分が知りたくないことを話されたからだ。人はあなたが思うほど、あなたやあなたの商品に興味がない。興味があるのは、あなたやあなたの商品が自分にとってメリットがあるのか?自分の抱える悩みを解決してくれるのか?ということだ。
まず相手が困っていること、知りたいことを聞き出して、それに対してどういうお手伝いができるかということを話していくと話を聞いてくれる。
高田明氏は、能役者の世阿弥の著書「風姿花伝」の3つの目、「自分の視点(我見)」「相手の視点(離見)」「自分と相手を客観的に見る(離見の見)」の話を交えて説明してくれた。
相手に買った後の世界を想像させる
この商品を購入するとどんな生活が待っているのか?その想像を相手にさせると相手の購入意欲は一気に高まる。
例えばiPadを定年後の年配の方に売る場合。
「iPadを買うといろんな調べ物がすぐにできます。佐々成政と入力してみてください。どんな人物なのかの情報が一瞬で表示されます。またテレビ電話も無料で出来るので、いつでもお孫さんの顔が見えますよ。」
という風にiPadを購入すると、どんないいことが起こるのかをなるべく具体的に想像させてあげる。
こうすることで、ただの商品にイメージが宿り、とても魅力的なものに見えてくる。こうなるとその商品の先にある未来を購入したくなる。
マーケットは作りだすもの
ジャパネットたかたは、最初小さなカメラ店として始まった。そこで長年撮影をしたりしていたので、お客様の家族構成などの情報は把握していた。
そこで当時20万という高額のカメラを訪問販売したのだ。小さな子供や孫のいる家庭に訪問して、カメラをテレビに繋げる。綺麗な画質で子供たちの笑顔がテレビの画面に映る。
そこまでくると多くのお客様は喜んで、その高額のカメラを買ってくれたのだ。お客様の欲しがりそうなものを見つけて、紹介してあげることで喜んで購入してくれる。
マーケットは待っていてもやってこない。
相手に「間」を与える
漫画や小説、ドラマでもそうだが、「間」というのはすごく重要な意味を持つ。それはセールスでも同じだ。
ただ一方的なトークでは相手はただ聞くだけで、頭に内容が入ってこない。トークの合間に「間」を作って相手にちょっとした時間を与えることで、情報が落とし込まれる。
例えば「そうではないですか?」「どうですか?」などの疑問形で問いかけて「間」を作ることで、相手は「自分はどうだろう?」と自分の頭を動かす。このちょっとの考える時間が、購入意欲をあげるためにすごく重要なのだ。
「今」の積み重ね
今あなたは頑張っているか?それは頑張っているつもりではないか?
今やれることは全部一生懸命取り組んでいるか?一生懸命なつもりではないか?
未来を見すぎていると、不安ばかりが溜まっていってしまう。3年後自分はどうなっているかを考えると期待もあるが、もちろん不安もある。でも未来というのは、誰にも分からない。
1000段先の階段を見つめていても、そこには到達できない。目の前にある1段を1000回登ることでようやくそこにたどり着けるのだ。
ローマは1日にしてならず、イチローは1日にしてならず、TVに出ている有名人も大活躍のプロスポーツ選手も、すぐに今のような状態になったわけでは決してない!「今」の積み重ねが「未来」を作り上げるのだ。そこに近道はない。
まとめ
ジャパネットたかたの元社長高田明氏は、68歳とは思えないほどエネルギッシュな人物だった。今回紹介した7つのことの根本には、確かな「ポジティブ思考」がある。
例えば、あなたの商品の全国シェアが7割だったとする。これを「7割もある」と考えるのか、「7割しかない」と考えるかで、今後の行動は変わってくる。
「7割もある」と考えるとそこで成長は止まってしまうが、「7割しかない」と考えると「残りの3割」に売るための工夫と改善が生まれる。
例えば、商品が全く売れなかったとする。こんな時でも「まだ商品に改良する余地がある」と考える。こうすることでもっと良い商品が生まれる。
ノウハウももちろん大事だが、前向きなマインドと継続して努力を積み重ねる姿勢が一番の基本になる。
ジャパネットの通販サイト
『ジャパネットたかた_ショッピングサイト』
話は変わるが、ジャパネットたかたもネット通販をやっている。
考えれば当然のことなのだが、なんとなくTVショッピングしかしていないイメージだった。イメージとは怖いものだ。
なんだか珍しいものを見るような感覚になる。
今回の講座で高田明氏が紹介していたもの
さぁ、
あなたは「今」頑張っているだろうか?
頑張っているつもりになっていないだろうか?