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能作工場見学と社長の話で感じた、9つの売れる理由。

2017/10/12

株式会社能作

富士山のぐい呑み、能作

オシャレなぐい呑みや、錫(すず)の曲がるカゴで有名な能作。

能作の曲がるカゴ

もはや富山県高岡市を代表するような企業だが、廃れていると言われる伝統産業をどうやって売上に繋げていったのだろうか?

工場見学と社長のお話を聞く機会があったので、そこで感じたことをまとめてみた。

社長の人柄

まず感じたのは、社長の能作克治さんの人柄だ。すごく柔らかくて一つも威張っているような感じがしない。

話の中で何度も出てくるオヤジギャグを聞いている限り本当にそこらへんにいるおじさんのようにさえ思えてくるw

実は能作家は女の子しか生まれない家系で、代々婿をとっている。先代もその先代も外から婿入りしている。そして能作社長の子供も全員女の子らしい。

外から人が入ってくるということは、客観的な見方ができるということだ。それが伝統となっていれば、より意見なども言いやすい環境になる。社員も自分の考えや意見が言いやすい環境ができているのだと思う。

どんどん新しいことにチャレンジしていく姿勢は、その社風にしっかりと後押しされている。

攻める伝統

時代は流れて変化している。だから昔ながらのことをそのまま続けていると廃れる。能作の考え方はこのようなものだと感じた。

現在の伝統産業の姿を見ても、それが実感できる。

昔からの良さは根本に残しつつ、時代に合わせて変化と進化を目指すことで生き残ることができる。

問屋制度

高岡の伝統産業は、問屋制度で成り立っていた。

消費者>問屋>能作などの企業

この図式が成り立っていて、問屋の指示に従って材料や製品を納める形だ。問屋との関係が成り立っている限り大量の発注が来るが、消費者と直接関わることもない。製品の色などの決定権も全て問屋にある。

多くの需要があった時代は良かったが、需要が減ると問屋からの発注が減りお金が回らなくなる。能作はこの制度の将来に危機感を持っていた。

流通も伝統

能作は自社商品の販路を確保しようと探すことになる。

しかし、もしそこが問屋との取引があると問屋との間に衝突が生まれるので、その場合は問屋を通すことにしようと決めていた。

実際に動いてみると問屋との取引があるところはほぼなかった。

伝統産業というものは、流通も昔ながらだったのだ。ずっと昔から付き合いのあるところへの販路だけで、新規開拓などはほとんどされていなかった。

失敗を恐れず挑戦する

能作社長の話を聞いていると、失敗した話がよく出てくる。失敗談が語られることは通常あまりないが、社長の口からは普通に出てくる。

成功するための実験なんだから失敗して当たり前、次に活かせばそれでいいというような考え方。これも能作の強さの一つだと思う。

とりあえず作ってみる

能作は当初、ベルを作って東京のセレクトショップと取引を開始したのだが全然売れなかった。

そのベルはデザインも優れていて音もいい。でも売れなかった。

理由は簡単。

日本人はベルを使う習慣がないからw

それって作る前にわかったことなんじゃ・・・wなんて思うけど、「とりあえずやってみる」が先に来るのだろう。あれこれ考えるよりも、まずやってみる。そうすると考えているだけでは分からなかったことが明らかになる。百聞は一見に如かず。

ベルを風鈴に変えると大ヒットとなった。

色を変える

大きなところだけを見すぎていると見落としてしまうのだが、色を変えると売れることもある。

商品のコンセプトや宣伝方法、デザインにはこだわるけれど、色って意外と軽く見られがち。でも人の購買意欲をくすぐるすごく重要な要素。

新しいことをすると新しい声がかかる。

とにかくやってみると良い理由は、新しい出会いが生まれることだ。

同じことばっかりやっていると、付き合う人も固定されて、思考まで固まってきてしまう。

でも何か新しいことをやってみると、今まで付き合いがなかったところから声がかかったりする。

これが新しい商品やアイデアなどに繋がることが多い。

何かをやってみることは、少しの勇気がいるけれどすごいメリットが多い。何もやらないとずっとそこで立ち止まることになる。

競争せずに共想する

能作社長の話の中でよく出てくる言葉。

これは先ほど新しい流通経路を探すときに、問屋と衝突しないようにするというところにも表れている。

人はときに相手を蹴落としてでも自分が勝ちたいと思う。しかし、能作社長の考えは「一人では何もできない」という所にあるように思った。

周りの皆さんのおかげで今の自分があって、足の引っ張り合いをするのではなく、みんなで上を目指した方が結局は早いという感覚。

現場の意見を取り入れる

販売業の場合は、ショップ店員の意見や感想を大事にする。

実際にお金を払って商品を買ってくれる消費者との時間は、ものづくりをしている人よりも店員の方が圧倒的に長い。そして消費者の素の意見もたくさん聞いている。

だからその意見を取り入れることが、一番効率がいい。

ベルを風鈴にする案も、店員の意見から生まれた。

声が聞こえにくいからマイク導入

現場の意見を取り入れる姿勢は、能作の社員全体にも行き渡っている。

工場見学や社長の話が終わると、何か感じたことや意見はないかと聞いている社員の姿がある。

工場見学で金属を研磨する施設に入ると、削る音がうるさくて説明の声がなかなか届かない。そんな意見が見学者から出たらしくマイクの導入を考えているそうだ。

現場の声、この場合はつまり工場見学の参加者の声を大事にしていることが行動に表れている。

このような顧客目線は、販売や商品開発において大きな力になる。

工場見学という集客

今回能作の工場見学をしてみて感じたのは、案内役や作業中の方の対応がすごくいい。

研磨に集中しているときなんかに、見物客がぞろぞろと入ってきて質問なんかされると気が散って、イラッとしそうな気がする。しかしそんなことは微塵もない。能作社長もこれでもかというくらい丁寧に話をしてくれる。

これはもう工場見学という名の企業説明会。つまり能作のファンを増やすための集いになっている。

これはすごく上手い。営業に行かなくてもお客さんがわざわざ足を運んで、話を聞いてこんな風に文にして拡散してくれる。

分け与える

これも競争しないというのと似ているのだが、なんでも独り占めしない。

例えば今回の工場見学でも社長の話でも、何も隠さずに全部話してくれる。これは簡単に真似できない自身の表れなのかもしれないが、「全部教えますよ」という姿勢がすごく好感を持てる。

錫(すず)を卸す

能作が得意とする錫は実は原価がかなり高い。

100gで250円ほどもして、3t以上仕入れてようやく値段が下がる。そのため少量の錫で商売をすることがとても難しい。

能作にところ錫を使って商売をしたいと相談に来た人がいたそうだ。能作はその人に錫を卸してあげることにした。

自分のライバルを助けるような行為、なかなかできることではない。でもこのように懐の広い対応がとれることが能作の強さだ。

相手も能作に恩を感じて下手なことはできなくなるし、逆にファンになってしまう。

全て独り占めしようとする姿勢では敵が多いが、このように分け与える姿勢は味方を増やす。

地元を誇る

富山の人は、何かと「富山なんて・・・」となりがちだ。

かくいう僕も自覚なしにそういう思考に陥っていることがある。でもそのような思考は、絶対に態度や言葉に出てくる。

せっかくいいことやいい商売をしていても、卑屈な感じがすると本来の良さが薄れてしまう。

自分の活動する地元に自信を持って誇ることで、応援してくれる人も増える。

今後の展開

現状を把握しながらも、決して満足しない姿勢が大切だ。

伝統は守っているだけでは、廃れていくのと同じように、今やっていることが今後ずっと変わらずに上手くいくことなんてない。

常に未来を見すえて動いていかなければ、いつかは終わってしまう。

錫の抗菌性を利用して医療へ

錫(すず)がとても抗菌性に優れているということが、最近の研究で分かってきた。

それを活かして能作は、医療やヘルスケアの方面へも活動の幅を広げるようだ。

例えば入れておくだけで殺菌消毒してくれる入れ歯ポットや、手術で使用する脳ヘラなどだ。

錫は抗菌性に優れているほかに、曲げやすく曲げたところでしっかり止まる性質があるので、それぞれにピッタリと合う形に加工しやすいようだ。

錫の柔らかさをデメリットと捉えるのではなく、メリットとして活かす姿勢も能作の強さだ。

まとめ

伝統産業というと廃れていって、「なんとか残さないと」という動きが強いイメージだった。

しかし能作を見ていると、今まで何も工夫がされてこなかっただけで、工夫次第でどれだけでも可能性があるように思えてくる。

そのためには、何でも悲観的に見るのではなく、常に前向きにみんなで一緒に上に上がっていくマインドが必要だ。

工場見学の内容については
能作工場見学(富山県高岡市)へ行ってきた。

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