世の中で空き家が問題になっている。高齢化が進んで限界集落となってしまった地域のニュースも目にするようになった。
しかし先日、『TOYAMA TABLE #5蛭谷和紙のアートに触れてみよう』というイベントに参加した。そのイベントは『蛭谷和紙職人、川原隆邦さんが製造工程を解説してくれる』というもの。
そこで蛭谷和紙唯一の職人川原隆邦さんが話していた内容がすごく心に残っている。
「限界集落が一瞬で、限界集落じゃなくなりました。」
※そんなニュアンスだったような…
それについて個人的に思ったことをまとめてみた。
空き家問題と限界集落とは
空き家問題
全国的に空き家が増えてきた。それにともない雑草などの衛生環境の悪化、景観の悪化、不法侵入など治安の悪化などの問題が出始めることが懸念される。それをどうやって解消しようかという問題。
限界集落
65歳以上の生活者が50%以上となった集落
高齢化社会になり、このような問題が頻繁にニュースに取り上げるようになりました。
空き家問題を解決するために、空き家バンクを作り一覧化したり、移住を勧めたり、仕事を用意したり、補助金を与えたり、様々な施策が税金によって立てられています。
でも「そこに移住して本当に生活できるのか?」など多くの不安要素があり、簡単には解決しない。
でも富山県中新川郡立山町虫谷という地区では、一瞬で解決した。
富山県中新川郡立山町虫谷
富山県中新川郡立山町虫谷という地区は、14世帯ほどの小さい集落。少し前までは空き家もある限界集落だった。
それが一瞬で変わった。
なぜなら川原さんたちが移住してきたから。
蛭谷和紙職人の川原さんを始めとして、陶芸家、漆芸などの若手工芸作家が次々と空き家に移住してきたのだ。
そして空き家を改装して『立山青山共同創造舎』というコミュニティスペースも生まれた。
川原さんに子供も産まれ、何十年ぶりに虫谷に赤ちゃんの泣き声が響いた。
小さい集落なので、数人の若者とその子供がやってきただけで、そこは定義上の限界集落ではなくなる。
空き家問題と限界集落の解決策
世間では色々と論議されている空き家問題や限界集落が、虫谷では一瞬で解決した。
世の中ではなかなか解決されない問題なのに、なぜ一瞬で解決したのか?
それは、若者が実際に行動したから。
ただそれだけだ。
あーだ、こーだ、こんなリスクが、あんなリスクがと、いくら話し合っても100%全てを解決する方法はない。
何をしても絶対に不安や問題は残る。それは空き家問題や限界集落だけではない。
問題は誰かが実際に行動するかどうか?それに尽きる。
僕たちは、ときに問題を大きく捉えすぎているのかもしれない。もちろん国や県などとなると、いろんな立場がありすぎてこう簡単にはいかない。
川原隆邦さんの行動力
アイデアには価値がない、という話を聞いたことがある。これはどんなアイデアでもそれを実行に移さなければ意味がないということだ。
どんな素晴らしいアイデアでも、新しいアイデアでも、世界中のどこかの誰かは考えたことがある。しかし、それを実行して形にした人がすごいのだ。
『蛭谷和紙の製造工程と特徴、唯一の職人川原隆邦氏から感じた伝統産業の在り方』でも少しだけ書いたのだが、川原さんの行動力はすごい。
蛭谷和紙の歴史が途絶えそうで、それが嫌だからと弟子入りして継承したのだ。
これも空き家問題と同じで、世間で問題とされている伝統産業の維持を一瞬で解決した。
なんだろう、大きい問題と捉えるのではなく、目の前のたった一つの問題と捉える感じだろうか。
とにかく若者一人の行動で、難問が一瞬で解決されるのだ。
移住してから問題は解決する
移住してきて空き家はなくなり、限界集落ではなくなった。「めでたし、めでたし」では当然終わらない。
空き家が埋まったから集落のみんなは嬉しいでしょ?って単純な問題ではない」
全く使われていない空き家でも、いざ住もうとなると「お金問題」が発生してきたり、全く使われていない荒れ地や、雑木林でも、「使わせてください」というと「お金問題」が発生したりするw
でもそれは、移住してみないと分からないことで、丁寧に話し合ってみないとどうなるかも分からない。
そういった問題をすべて解決してから、なんて考えているとおそらく何も進まない。
「問題は、起こってから考える」そういった無謀さも時には必要なのだろう。
まとめ
日本で唯一の蛭谷和紙職人、川原隆邦さん。
それだけの行動をしてきた人だけあって、話に説得力があって聞いていてとても面白かった。
実際に行動することは勇気が必要でなかなか難しいが、その行動がもたらす影響は大きい。
地域を変えられるのは、「よそ者、若者、ばか者」って言葉は結構あっているのかなぁw
そんな人たちを批判するのではなく、暖かく迎え入れるられるような社会になっていくといいなぁ。