富山県射水市新湊の曳山祭りを舞台とした映画「人生の約束」が2016.1.9に上映開始された。
富山県内、ファボーレや高岡イオンの映画館は大勢の人で賑わった。僕は、初めてバスで映画館に乗り込んでくる高齢者の集団を見た。富山っぽいw
『「人生の約束」のロケ地、新湊で映画公開後初の曳山祭り!』では、実際モデルになった新湊曳山祭りについて書いているので、こちらも読んでもらうとより楽しめるはずだ。
新湊生まれの僕としては、まず灯台の向こうに立山連峰が見えることに驚いた。海の向こうに山って普通に考えるとありえない。でも富山湾は大きく内陸に入り込んでいるからそんな景色が見られる。海を挟んで3000m級の山が見えるところは、世界的でも珍しいそうだ。
この映画を通じて、富山の素晴らしさを教えてもらった気がする。いつも当たり前にそばにあって気づきにくいものを都会の人に教えてもらうという状況は、なんだか悔しい気もしたが、とてもいい映画だった。
人生の約束のロケ地巡りについては、下記の手順で説明していく。
新湊の曳山祭り
新湊の曳山祭りは、毎年必ず10/1に行われる。その日が平日でも休日でも関係ない。
新湊では、この日は会社を休む人が多い、そして小中学校も休みになる。
引き手の確保のためであるが、新湊の人間は祭りごとに情熱的だ。会社側も新湊の曳山祭りだと言えば、仕方ないような感じで認めてくれる。
新湊民はかつて、新湊高校が甲子園で勝ち進んだときには、会社を休んで甲子園に乗り込み「イヤサーイヤサー」のかけ声と共に新湊旋風を巻き起こした。
ちなみに昔は新湊市があったのだが、統合のため射水市になり、現在は「新湊」という地名はない。
また人生の約束の映画の中でも、問題になった曳山の管理について。
曳山は町内での管理のため、町内会費の他に毎月最低でも5000円の負担をしている。世帯の多い町内ならいいのだが、どうやら紺屋町は15世帯ほどしかないためかなり大変なのだと思われる。
映画同様、曳山を管理できなくなって譲渡するという話はあってもおかしくない。
人生の約束の登場人物と俳優
「人生の約束」は、竹野内豊、江口洋介、西田敏行、松坂桃李、優香などかなり有名な俳優がキャストされている。個人的に気になったのは、第14回の「全日本国民的美少女コンテスト」にてグランプリを受賞した新人の高橋ひかる。これだけの俳優に囲まれながらも十分に存在感を発揮していた。
ここで、簡単に登場人物の整理をしよう。
竹野内豊【中原祐馬】
N&SグローバルのCEOで、会社の拡大にのみを考える冷徹な人間。一緒に会社を立ち上げたかつての親友、航平の死をきっかけに自分の人生を見つめなおす。
江口洋介【渡辺哲也】
四十物町(あいものちょう)総代。地元の漁師を束ねる親分。その性格から祐馬とぶつかる。
西田敏行【西村玄太郎(玄さん)】
四十物町 町内会長。祭りを誰よりも愛する理髪店の店主。
松坂桃李【沢井卓也】
N&Sグローバル社員。優秀だが祐馬の方針に疑問をもつ。
優香【大場由希子】
N&Sグローバル社長秘書。祐馬を献身的にサポートする。
小池栄子【藤岡小百合】
新湊の女性漁師。明るく男勝りな性格だが人情深い。
美保純【冨樫美紀】
スナック海の女王のママ。町のみんなを憩いの場で温かく見守る。
高橋ひかる【渡辺瞳】
航平の娘。父のことを知る祐馬に願いを託す。
柄本明【武田善二】
西町 町内会長。四十物町と対立するやり手の経営者。
人生の約束のロケ地マップ
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通常ロケ地マップは紙でしかなく、現地の公共施設などに行かないと手に入らないことが多い。しかし人生の約束では、ロケ地まち歩きガイドMAPが用意されている。
現地に行く前に、画像解像度の高いMAPが手に入ることはとてもありがたい。
『映画人生の約束ロケ情報』からダウンロードしておこう。
→射水市の観光サイトがリニューアルしたので、ダウンロードできなくなった…。
このサイトの画像もまぁまぁ画質高めにしておいたので、このサイトのマップをみて…。
このMAP、映画の中の見所が数行でしっかりと説明されているので、とてもわかりやすい。
人生の約束を見て気になった場所
映画を見終わった後は、「うわぁ綺麗、行ってみたい」なんて思う。でもその記憶って結構曖昧で、実際に現地に行くと「こんな感じだっけ?」と思うことはよくある。
どんな景色だったか、どんな場面だったか、きちんと整理しておくことをおすすめする。
僕は、DVDで綺麗な場面や印象的な場面をiPhoneで写真に撮っておいた。この方法は、ロケ地巡りをしているときにもスマホで簡単にチェックできるので、かなりおすすめ☆
人生の約束では、似たような橋がたくさん出てきてどれがどの橋が分からなくなるので、橋の欄干と周りの景色がわかるように写真に撮っておくといい。
ロケ地マップと照らし合わせ
人生の約束を見返して気になる場所をピックアップしたら、その場所をロケ地まち歩きガイドMAPで確認しよう。
地味だけどこの作業をやっておくかどうかで、ロケ地巡りがスムーズにいくかどうかが変わる。
イタリアのベニス
新湊の内川
人生の約束のロケ地、新湊の内川周辺は「日本のベニス」と言われている。映画内で出てくるように川に小さな船が浮かぶ様子が似ているのだ。
それだけでなく、道がめちゃくちゃ細い部分も似ている。大体の場所はわかるのだが、思うように進めないこともある。
全体の把握と道に迷わないために、行く前のイメージトレーニングが鍵になる。
人生の約束おすすめのロケ地めぐりルート
まず頭に入れておいて欲しいのは、ロケ地の範囲がまとまってはいるが意外と広いということだ。
右端の放生津八幡宮から、左端の旧新湊漁港までは直線距離で約1.8kmある。細い道を行ったり来たりして、登りがきつい橋を何度も渡らなければならない。内川は、橋の下を船が通るので勾配がキツい。
かなりざっくりだが、トータルで10km以上は移動しなければならない。そこでおすすめするのがレンタサイクルを利用する方法だ。
川の駅新湊でレンタサイクルを借りる
車で移動していた場合は、まず地図に示した山王町公園に車を停める。そこから歩いて神楽橋を渡り、川の駅新湊で自転車を借りる。
レンタサイクルは300円と手頃な値段で借りられる。
川の駅新湊の中には、曳山が展示してある。
人生の約束で中心となった四十物町(あいものちょう)の法被や撮影風景のパネル、小さい曳山の模型なども飾ってあるので、来て損はない。
映画「あなたへ」で高倉健さんが来たときのパネルの展示もある。
近くから巡る
映画の順番通りに行くと放生津八幡宮からロケ地巡りを開始することになるのだが、順番通りに行くとかなりの移動になるので、よほどこだわりがない限りは近くから巡ることをお勧めする。
スナック「海の女王」
まずは、川の駅新湊から東へ向かってスナック「海の女王」を巡る。
人生の約束では、四十物町と西町が和解して一緒に歌いながら呑んだ場所だ。そしてこの前の川が、竹野内豊と江口洋介が飛び込んだ川だ。
江口洋介がスナックのママ美保純に「あれをかけてくれ!」といってかけたのは、「ワシントン広場の夜は更けて」の曲に石橋監督が歌詞を載せてアレンジしたものだ。
ロケ地ごとに番号をつけてひとくちメモまで用意されている。このおもてなし感がすごい。この看板は、おそらく9つあるのだが僕には全て見つけられなかった…。
スナック「海の女王」は外観だけで、店内のシーンは東京都内のスタジオで撮影しているので、残念ながらここで一杯ひっかけることはできない。
東橋
スナック「海の女王」から東へ向かって「東橋」を巡る。
ここは、優香と松坂桃李が竹野内豊を迎えに来た場所だ。
「タクシーを貸してくれ」と言って、竹野内豊が高橋ひかるの待つ旧新湊漁港へ向かった場所。
放生津八幡宮
東橋から北へ向かって「放生津八幡宮」を巡る。
ここは、映画の冒頭で「曳山譲渡式」が行われた場所だ。鳥居の裏の高い位置からの撮り下ろしがされていた。
実際の新湊曳山祭りでは、この神社から曳山が出発して、夜戻ってくる。
神楽橋
放生津八幡宮から西へ向かって「神楽橋」を巡る。
MAPには、西町と四十物町が「つながる」と書いてあるが、チェック不足でどの場面なのかいまいち分からなかった。
そしておそらく看板もあるはずなのだが、どうしても見つからなかった…
渡邊家番屋
神楽橋から少し東へ向かって「渡邊家番屋」を巡る。
ここは、序盤で四十物町の漁師たちが集まって、西町に曳山をとられたことを悔しがっていた場所。また竹野内豊と江口洋介がお互いに殴り合った印象深い場所でもある。
2016.9.25時点では閉まっていたが、映画公開当初はカフェとして土日祝日のみ営業していた。噂によると現在は改装中とのことだ。
ばんざわ理容店
渡邊家番屋近くの中新橋を渡り、南へ向かって「ばんざわ理容店」を巡る。
ここは西田敏行と室井滋が営む理容店。江口洋介の髪をカットしながら、室井滋と西田敏行の「なーん、つかえん」の富山弁が連発された場所だ。
「つかえん」とは、富山弁で「さしつかえない」「大丈夫」のような意味だ。
中の橋
ばんざわ理容店から川沿いを西へ向かって「中の橋」を巡る。
ここはオープニングで、曳山が渡っているところで人生の約束のタイトルが出た場所だ。
また江口洋介と西田敏行が人生について「階段のおどり場」などの言葉を使って語ったところでもある。
あずま
中の橋から西へ向かって「あずま」を巡る。
ここは航平の家として、竹野内豊と小池栄子が壁に掛けてある四十物町の法被などについて話をした場所だ。
現在は、定住促進用の民家として一泊1000円で泊まることができる。
『射水でまっとるちゃ』
※2016.9.29現在2階の使用はできない。
新西橋
あずまの目の前の「新西橋」を巡る。
ここは、竹野内豊が最初に車で乗りつけ、航平の遺骨を持って江口洋介と高橋ひかるが船に乗って下を通って行った場所だ。
また、あずまの窓から見えた高橋ひかるを追って旧新湊漁港まで駆け出した場所でもある。
竹野内豊は日産FUGAだったが、この日は黒塗りのセルシオが停まっていたw
湊橋(おたすけ橋)
画像引用:富山県ロケーションオフィス
ここは、オープニングでお坊さんが走っていた場所だ。またクライマックスで提灯山が連なって通った場所でもある。
2つのクランクがあり、実際の新湊曳山祭りでもイヤサーの声と共に曳山が迫力満点で駆け抜ける見所だ。だが、実際の祭りでは提灯山が通ることはない。
古新町公民館前
湊橋を西に向かって「古新町公民館前」を巡る。
ここは、提灯山がダイナミックに交差して通っていた場所だ。
旧新湊漁港
古新町公民館前から北西に向かって「旧新湊漁港」を巡る。
ここは赤灯台と言われる場所で、映画の中で何度か風景として出てくる場所だ。また高橋ひかるのお気に入りの場所で、竹野内豊とフランスパンを食べたりした場所でもある。
実際には、ここまで立山連峰が綺麗に見えることは珍しい。しかし、人生の約束のロケがあった3月と5月は、そのほとんどが快晴で綺麗な立山連峰が見えたらしい。雨の多い富山で奇跡と言える。
灯台まで行かない広いところは、四十物町を救おうと一致団結した場所だ。
ここでのシーンでは、地元エキストラが300以上集まったらしい。
撮影のために13基すべての曳山を何度も出したりと、新湊民の手厚い協力がなければこの映画は成り立たなかっただろう。
三日曽根公民館
旧新湊漁港から南へ向かって「三日曽根公民館」を巡る。
ここは、西町の曳山御蔵前で柄本明と竹野内豊が言い合いをした場所だ。
行って写真を撮ってみると分かるが、映画では御蔵の扉が開いているからなのか全く別の場所のように感じる。撮影の技術というのはやはりすごいなと実感した。
新湊庁舎北駐車場
三日曽根公民館から南西へ向かって「新湊庁舎北駐車場」を巡る。
ここは、「イヤサーイヤサー」の掛け声の後に、13基すべての提灯山に一斉に明かりが灯るかなり印象的なシーンが撮られた場所だ。
ただやはり、提灯山があるのとないのでは全く景色が異なり、ここがあの印象的なシーンの場所なのかあまり実感できなかった。
映画が公開された2016年の新湊曳山まつりからは、人生の約束のそのシーンを見習って提灯の一斉点灯が行われる。
その他のロケ地
レンタサイクルで巡ることが可能な人生の約束のロケ地は、このくらいだ。
これだけ巡るだけでも写真を撮りながらだと2時間以上かかる。
その他にも映画で使われた場所の写真をいくつか撮ったので紹介する。
新湊大橋
ここは、序盤に竹野内豊と優香が富山に向かうシーンで登場した場所だ。
大げさかもしれないがレインボーブリッジを連想させ、富山にこんな都会的な橋があっていいのかと思うほど立派だ。
2012.9.23に開通して現在は写真のようにライトアップもされている。
橋は二層構造になっていて、車などが通る道路の下に「あいの風プロムナード」と呼ばれる歩行者や自転車が通る道が、2013.6.16にオープンした。橋のたもとのエレベーターで上がって歩いて渡る。距離は480mでここを歩いて渡って、帰りは渡船で帰ってくるのもおすすめだ。
新湊の渡船
これは、竹野内豊と高橋ひかるが越ノ潟駅で待ち合わせして、秘密の場所に向かうときに使用した渡船だ。
1階は扉付きの室内で、2階は写真のようにオ屋根付きのオープンデッキになっている。
対岸までは5分ほどだが、無料で利用でき、船で浴びる風がとても気持ちいい。ただし冬は外は寒すぎるので、暖房付きの1階にいる方がいい。
2016.9.29時点での時刻表だ。さらに正確な情報は『新湊渡船』を見てほしい。
越ノ潟駅
ここは、高橋ひかるが竹野内豊を半ば強引に呼び出して待ち合わせた場所だ。
射水万葉線の終点で、夜になると写真のようにバックに新湊大橋のライトアップが見られる。
対岸の堀岡に行く渡船の駅とほぼ直結している。
四方漁協
ここは、曳山協議会の会議で使われ、西田敏行が柄本明に「つながったことありますか?」と言った場所だ。
城端の一本桜
ここは、高橋ひかるが竹野内豊と渡船、バスを乗り継いで行った秘密の場所だ。
新湊から城端は、車で1時間以上はかかるほど遠い。
伏木万葉大橋付近
ここは、柄本明が竹野内豊に「あの記事を書かせたのはお前だろ?」的な言葉をかけた場所だ。
新湊・内川ロケ地巡りツアー
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ガイドが新湊・内川周辺で撮影された映画やテレビドラマ・情報番組、CMなどの撮影ポイントをエピソードを交えて案内してくれるようです。
ガイドと昼食(白えびかき揚げ丼)とケーキセットがついて大人2000円。
これ、かなりお得な気がします!
三重県の会社が運営しているサイト『Visit富山県』に掲載されていたのだけど、2018年6月現在もうページがなくなっているので、もう終わったのかも…。
まとめ
映画「人生の約束」は、富山のシーンのほとんどが新湊で撮影された。ロケ地が集中しているので巡りやすい。
そしてロケ地の新湊内川周辺は、昔に比べてかなり綺麗にされていて美しい風景もたくさん見ることができる。
日本のベニスを味わいながらロケ地を巡ることができるので、一石二鳥でおすすめだ。