【地方都市の中心商店街の栄枯盛衰】人が減った理由とこれからについて考察してみた!

田舎の富山の地方都市中心商店街

千石町商店街のアートスペースカワモトで開催された「まちのかたり場in城下町」で、富山市中心商店街店主を紹介する冊子「CRENKE(クレンケ)」を作っている若者たちの話を聞いてきた。

まちのかたり場には、商店街の店主もいれば、僕のように商店街に直接関係のない人も参加。商店街の話は想像以上に面白くて大いに盛り上がった。

話を聞いていると、自分なりに総曲輪・中央・西町などの中心商店街について考えることが多々あったのでちょっとまとめてみた。

クレンケの若い力や考え方・行動力は少なからず参考になると思うので、興味のある方は次の記事も読んでみて欲しい。

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目次

富山市の中心商店街

富山市の中心商店街といえば、総曲輪通り(そうがわどおり)・中央通り・西町だ。

小・中学生の頃は、映画を見て遊ぶなら中央・総曲輪通りだった。親に小遣いをもらい、東映で映画『ゴジラ』を見た後に、ミスドでドーナツもしくはマックでてりやきチキンバーガーセットを食べた記憶が今でも残っている。

当時の商店街はかなりの人で賑わっていて、土日に遊びに行けば誰かしら友達に会う状態だった。

最近商店街を通ったときにふと思い出したんだけど、火曜日は総曲輪通りが、水曜は中央通りが休みだったような…逆だったか?? ファボーレなどほぼ年中無休の施設ができて、商業施設に休みがあるって感覚がほぼ薄れてきている。

今回のイベントで話をしていたクレンケメンバーたち若い大学生は、総曲輪通りや中央通りが栄えていた頃を知らない。あそこが人で溢れるのは、山王祭のときだけだと思ってる。

ある程度仕方のないことだけど、僕たちは自分の感覚や視点でだけモノを考えてしまうことが多々ある。

年代年代で、感じ方はそれぞれ違う。

中心商店街の昔と今

中央通り、総曲輪通りは、昔は人で溢れかえっていた。

今はその多くが潰れてシャッターが閉まっている…。

元西武デパートがあった場所には、また大きなマンションが建つようで工事の真っ最中。その前にあった帽子屋も潰れていた…。小学生の頃、授業の一環で店の人に話を聞いた記憶がまたよみがえった…。

栄枯盛衰というが、このような変化はなぜ起こったのだろうか?

時代の変化と中心商店街

たとえば、
昔は「映画」といえば総曲輪通りか中央通りだった。おしゃれな服を買うといえば、総曲輪通りか中央通りだった。

ネット通販もなく、車も1人1台ではなく一家に1台あれば良かった時代だった。

映画を見るには、映画館のある総曲輪や西町などの中心商店街に行かなければならなかったのだ。あの頃の選択肢はほぼ一択。つまり、独占市場だった。

それが変わってきたのは、いつ頃だろうか…。

ライバルの出現

まずは、1996年に「富山シアター大都会」ができた。富山県では初のシネマコンプレックス(複合型映画館)。中学生?の頃、友達とチャリで『もののけ姫』を見に行った記憶がある。

帰りに富山アピタ東店で、ジュースの詰め放題をした記憶もかすかに残っているw 調べるとアピタ富山東店のオープンは1998年(H10)とのことなので、シアター大都会ができて2年後に行ったのか、そこらへんの記憶は曖昧だ…。

そして、ファボーレ富山が2000年10月6日にオープン。

郊外型の大型商業施設は、無料駐車場も完備で、映画もショッピングも食べ物も全てが一箇所で楽しめる場所。若者たちはデートを楽しみ、ファミリーは家族の時間を楽しんだ。

こうして、今までは総曲輪通り・中央通りしかなかった富山民の選択肢が一気に広がった。

今まで富山市中心商店街に一極集中していた人が分散していったのだから、中心商店街からは一気に人が減った….。

中心商店街でお金を使ったのはいつ?

世の中の多くのものは、お金がまわることで成り立っている。

富山市の中心商店街でお金を使ったのはいつだったかを振り返って考えてみた。

1年ほど前に、ほとり座で映画「人生フルーツ」を見たときに1000円ちょっと使っている。
ミニシアター「ほとり座」富山にこんなにいい単館映画館があったとは…

友人がやっていた居酒屋で同窓会を開催して、全員分で7~8万。別の友人の居酒屋でも数万円は使った。今は潰れた店でアイス最中も買った。

家族の食事や紀伊国屋での本代で、富山大和にはまぁまぁお金を落としているが、個人店などにお金を使ったのはこれくらいな気がする…。

富山市中心商店街と他との利便性の違い

総曲輪・中央・西町など富山市中心商店街と、ファボーレやネット通販の違いはなんなのだろうか?

「駐車場代」「情報量」「価格」の3つを挙げてみた。顧客である僕たちは、これらの要素で中心商店街とその他を天秤にかけて、どこで買い物をして、サービスを受けるかを検討する。

駐車場代の有無

車社会の富山のような田舎にとって、駐車場代がかかるかどうかは意外と大きいポイントだ。

絶対的に行きたいイベントやお店などの明確な目的があれば駐車場代を払ってでも行くが、「なんか暇だから」といった感覚では駐車場代を払ってまで行かない。

ファボーレなどの大型ショッピングモールは、駐車場代が無料なうえに多くの店舗が入っているので、なんとなく行っても何かしら楽しいことが見つかる。

人は何かを購入するときに、最初から全て決めていることは少ない。様々なものを見ているうちに購入意欲が湧いてくることも多いのだ。

そう考えると、中心商店街と大型ショッピングモールなどとの間にあるこの差は大きい。

情報量の違い

総曲輪通り、中央通り、西町に、なんの店があってどんなことができるのかを把握している人はどれだけいるのだろうか?

ネットですぐにいろんなことが調べられるこの時代においても、富山市中心商店街のことはほとんど分からない…。

先ほど明確な目的がある場合は駐車場代金を払ってでも行くと書いたが、どんな店があって何ができるのか分からないのであれば、そもそも明確な目的なんてできない…。

富山大和にまだお客が来ているのは、デパ地下で特別な食べ物が楽しめ、紀伊国屋で本を探し、飲食店でちょっと贅沢なものが食べられるということが明確になっているからかもしれない。2000円以上使うと2時間駐車場代金が無料になるということも、少なからず影響しているはずだ。

価格の違い

多くのお客さんがくる大型ショッピングモールや、大量に仕入れて保管コストも安いネットショッピング、それと富山市中心商店街の小さな店舗を比べるとやはり価格の差が生じてくる。

仕入れや人件費、場所代などのコストを考えると当然のことだ。

もし全く同じ商品があって、中心商店街では1500円、大型ショッピングモールでは1300円、ネット通販では1100円で販売していたら、あなたならどこで購入するだろうか?

駐車場代もかかるとすると、よほどのことがない限り中心商店街で購入する人はいないはずだ。

ネットがなくて情報が限定されていればまた違う結果がでるかもしれないが、インターネットが発達した現代ではすぐに価格比較ができる。

中心商店街に行ったのはなぜ?

時代の変化と共に富山市の中心商店街がどうなってきたのか。デメリットや悪いところを多く書いてきたが、僕はそのような状況でも実際に何回も足を運んでいる。

自分自身はいったいどういう時に足を運んだのか、「中心商店街でお金を使ったのはいつ?」と重なる部分も多いが思い出してみた。

パッと思いつく限りでこんな感じ。

映画もあるけど、ほとんどがイベント。特に人の話を聞きに行ったものが多い。

お金を落としたかどうかを別にして、「人の話を聞きにいく」という行動はネットなどで代替できない。ウェビナーなどもあるが、直接顔を見ながら、周りの人の話も聞きながら、という体験は直接足を運ばないとできない。

「人」やイベントで、中心商店街は他の施設よりも優れていたといえる。

中心商店街の役割の変化

富山市中心商店街店主を紹介する冊子「CRENKE(クレンケ)」が、面白い、可能性があるかも、と思ったのは「人」に着目していたからだ。

「人」という要素は、ネットなどではなかなか代用できない。中心商店街が他に勝てる分野なのではないかと思う。

でも、自分の行動を振り返っても分かるが、足を運んではいるがあまりお金を落としていない。商店街の存在は、商品を購入して多くのお金を使う場所として認識していないのだ。話し合いの中で若い人たちも、商店街ではほとんど物を購入していないという話をしていた。

商店街という場所は、昔は行楽やファッションの中心地であったが、時代と共にその役割が変わってきているんじゃないかと思えてきた。

商店街活性化のヒントはそこにあるような匂いがする。

富山市中心地の高層マンション

元西武デパートの跡地もそうだが、富山市中心商店街では高層マンションが続々と建っている。

コンパクトシティを掲げる富山としては、街中に人が住むことを支援しているようで、小耳にした話だと補助金も貰えるそうだ。

個人的には信じられないが、どうやら売れているらしい。まぁ、売れているから建つのだろう。

日本の個人金融資産の8割以上を50代以上の人が占めているという話を聞いたこともあるが、お金をもつ年配の方が中心市街地に住むようになると、状況は大きく変わるだろう。

しかし現在実際にいくつか大きいマンションが建っているが、通りを歩いても年配の人がたくさん歩いているなぁという印象は全く受けない。地場もん屋くらいだろうか。

「投機的に都会の人が購入している」だとか、様々な噂を耳にするが真実はよく分からない。でも、現実として中心商店街が年配で溢れるという状況は起きていないし、新しくユウタウン総曲輪にできた映画館ジェイマックスとやまも、満席になっているのを見たことがない…。

商店街は客として若者を欲しているのか?

「商店街に若者を呼ぼう!」という言葉を見かけることもあるが、話を聞いて考えているうちにそもそも中心商店街は若者にきて欲しいのだろうかと疑問に思った。

ファボーレやイオンなどが出来て、若者たちはそちらに行ってしまった。ネット通販が出来てスマホでポチッとなんでも変える時代になった。昔は中央通りでしか買えなかった服も今やネットでどこにいても買えるようになった。

もともと中心商店街にあった若者向けのファッションショップが、軒並み潰れた。総曲輪通りから中央通りまでずっと歩いてみても、若者向けと思える店は数えるほどしかない。

若い客が減る→店が潰れる→さらに若者が減る、という悪循環がもはや止めようがない。

しかも今の若者は、中心商店街が賑わっていた頃の若者に比べてお金がない。商店街にやって来ても、お金をたくさん使ってくれるわけではないのだ。

若者が持っているエネルギーや元気や華やかさなどは、賑わいには必要なものなのだが、若者=お金には直接結びつかないのが現代の商店街の状況なのだと思う。

まとめ

イベントでの今時の女子大学生の話から、中心商店街について様々なことを考えさせられた。

すごい無責任なのだが、かつての中心商店街の賑わいを知っている富山県民の心の中には、総曲輪・中央・西町は残っていて欲しいものでもある。

中心商店街がどうしたら活性化していくのか?

今の商店街の枠割の変化をしっかり理解し、お金のある高齢者と、行動力とエネルギーのある若者をうまくまとめて、ネットや大型ショッピングモールでは味わえないものにしていくこと。

具体的な部分はまだ全然分からないけど、そういった方向性なんだろうなぁと感じている。

あなたにとって商店街はどのような存在? それぞれが考えることから活性化が始まるのではないだろうか。

田舎の富山の地方都市中心商店街

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