手で簡単に曲げられる錫製品で、全国、世界でも有名な富山県高岡市の鋳物メーカー「能作」。
富山の伝統がテーマの映画「デンサン」でもそのモチーフとなり、富山のオススメの観光地としてミシュラン・グリーンガイドにも掲載された。
その能作が、2017年4月27日(木)に富山の産業観光の拠点ともいえるものすごい建物(新社屋・工場)を建てた。
能作克治社長の話は富山県民として、すごく参考になり、面白いものだった。
そのときにも、能作社長がちょろっと話題にしていた能作新社屋。見学に行った人からも「すごい!」と感想を聞いていたが、ついに実際に見に行くことができた。
結論からいうと、観光としてもいいし、富山県民として一度は訪れておいて損はない。
能作のできるまで展は、富山という田舎でどのような葛藤と考えと共に能作が出来上がったかを、社長の言葉と写真と共に紹介した展示会なので、めっちゃオススメだ。
富山の産業観光の拠点となる能作新社屋がどんな施設なのか、ちょっとまとめてみた。
産業観光
歴史的・文化的に価値ある工場や機械などの産業文化財や産業製品を通じて、ものづくりの心にふれることを目的とした観光。
(Wikipedia)
能作新社屋の施設構成
能作の新社屋は、すごく次の6つで成り立っている。
・FACTORY TOUR(工場見学)
・NOUSAKU LAB(鋳物体験)
・TOYAMA DOORS(富山の観光案内)
・IMONO KITCHEN(カフェ)
・FACTORY SHOP(製品販売)
・NOUSAKU CUBE(能作ができるまで展)
海外からの観光客のことを考えてなのだろう、全て英語である。
実際に行ってみると分かるが、めちゃくちゃオシャレ。鋳物工場というと汚らしいイメージがあるが、そんなことは全くない。
わざわざ「能作」を見に来た訳ではなく、オシャレなカフェでランチをしに来たって人もいると思う。デートに使っても全然OKなほどオシャレ。
別に鋳物にそこまで興味のない人も、気軽に来られる雰囲気こそが能作の狙いな気がしている。
鋳物工場にオシャレな格好をした人がいるってのが、もうすでにすごいw
能作のそれぞれの施設について詳しく見ていこう。
FACTORY TOUR(工場見学)
鋳物メーカー能作が、実際にどんな風に製品を作っているのかを見学できる。
僕が行ったときは日曜だったので、やってなかった↓
でも施設が綺麗になっているだけで、見学できる内容は以前の工場見学とほぼ変わらないと思っている。
予約サイトで空きを見てみると、土曜日はかなり混み合っているので早めの予約が必要だ。
休業日:日祝、年末年始
所要時間:約1時間(希望に応じる)
費用:無料
人数:1〜60名(60名以上は要相談)
予約
TEL:0766-63-0001
Mail:kanko@nousaku.co.jp
能作サイトから予約
NOUSAKU LAB(鋳物体験)
高岡銅器の伝統技法を用いた錫製品の制作を実際に体験できる。
子どもから大人まで楽しめる内容になっているようなので、家族連れでもOKだ。
体験内容 | 所要時間 | 費用(税込) | 体験時間 |
---|---|---|---|
ぐい呑 | 約90分 | 3500 | 10:00~ 13:00~ 15:00~ |
小鉢 | 約90分 | 3500 | |
トレー | 約90分 | 3500 | |
箸置き2個セット | 約90分 | 2000 | |
昆虫チャーム3点 | 約90分 | 2000 | |
ペーパーウェイト | 約30分 | 中学生以上800 小学生500 |
10:00~ 11:30~ 13:00~ 14:30~ 15:00~ |
事前予約が必要なので、その点は注意しよう。
エプロンの無料貸出があるが、砂を利用するので汚れても構わない格好で行った方がいいようだ。
土日は時間帯によっては、満員になってたりするので、予約サイトで空きを調べて忘れず予約してから行こう。
休業日:年末年始
人数:1〜36名(37名以上は要相談)
予約
TEL:0766-63-0001
Mail:kanko@nousaku.co.jp
能作サイトから予約
TOYAMA DOORS(富山の観光案内)
富山ドアーズというのは、富山の観光スポットをカード化してズラッと並べたものだ。
自社の紹介だけをしがちだが、能作は富山県内全ての観光地を紹介することで、富山観光の拠点としての機能も狙っている。
これが能作新社屋のすごい部分だと思う。
ドアーズってネーミングもいい。きっと、おそらく、富山出身で一番有名なネコ型ロボットのひみつ道具からきてんだろうなぁ。
さらに富山の観光案内のカードだけではなく、プロジェクションマッピングを使った動画での観光案内も行っている。
季節ごとのスポットなど、かなり丁寧に紹介していて、全部見ようと思うとまぁまぁな時間がかかる。
富山ならではの、寒ブリや白えびなどが泳いでくるような演出もおもしろい。
さらになんと、真鍮製日本地図もロビーの床に埋め込まれている。
富山県高岡を中心に、日本列島の角方角が一発で分かるような作りになっている。
「日本の中心にあるのは能作ですよ」っていうアピールを暗に感じさせて、その点もなんか良かった。
IMONO KITCHEN(カフェ)
能作の鋳物キッチンは、めちゃくちゃオシャレ。
一鋳物メーカーがここまで出来るんだ!って驚きの連続だ。
前面ガラス張りの座席からは、まだはりたての芝生の緑が綺麗に眺められる。
やはり女性客が多かった。
IMONO KITCHENのメニューも、女性が好きそうな感じ。
まぁまぁな値段するが、能作のカフェなだけあってこだわりがすごそう。
FACTORY SHOP(製品販売)
能作の製品を販売するショップは、施設のほぼ中央にあり、いつでも目に入ってくる。
都道府県のパズルが体験可能になっていて、実際に遊んでいる人が結構いた。僕もやって見たが、地味におもしろい。
ネットでも買えるものがあるが、能作の商品は実際に手に取ってみると良さを実感できる。
販売点数はかなり多く、ネット上にはない商品もある。
NOUSAKU CUBE(能作ができるまで展と名言)
能作新社屋で、一番いいと思ったのはこの「能作ができるまで展」かもしれない。
なぜなら、能作克次社長の名言と共に、当時の写真が飾ってあって、様々な葛藤の歴史が見てとれるから。
能作社長の言葉が、妙に胸に響いてくる。能作は決して一朝一夕で出来上がった企業ではないし、富山のどの企業もそうなんだと実感できる。地道に頑張るしかない。
案内板にTOYAMA CUBEって書いてあり、しかもカフェの一番奥にあるので行こうか若干迷ったが、行ってみると「能作ができるまで展」だった。
能作のものづくりへの真摯な姿勢が見てとれる。
能作の名言の数々をどう感じただろうか?
人を雇う企業である以上、儲けて従業員を養っていかなければならないが、自分たちだけでなく富山、高岡、ものづくり企業全体で上へ向かっていこうという姿勢がとても勉強になる。
能作工場見学と社長の話で感じた、9つの売れる理由。でも書いたが、能作は自分たちが大量に仕入れた錫を、仕入れに困っている人に卸したりしている。
「分け与える」ことで得られる「信用」の価値を大事にしている。
これは今の時代できるようで、なかなか難しいのではないだろうか?
「自分だけよければいい」という考え方では、この先の人口現象時代を乗り切って行くのは難しい。
何より、そんな人や企業とはあんまり関わりたくない。
能作のこだわり
能作の新社屋・工場には、ちょっとしたこだわりがたくさん詰め込まれている。
能作新社屋に入るとすぐに目に入ってくるのが、この100本の花器「100のそろり」だ。
これは100名の職人による100のそろりで、同じそろりは一つとしてない。
他へ展示に出張しているそろりもある。
全て同じ形をした既製品ではなく、それぞれに味があるこのような作品は見ていておもしろい。
100のそろりを抜けて中に入ると、自然に目に入るのが、ガラスケース一面に敷き詰められたもの。
「一瞬、なにこれ?」って思うのだが、近づいてよくみると、鋳物を作るときの型。
色とりどりにアレンジしてあって、見ていて飽きない。前面にある迫力もすごい。
能作の工場の外にある大きなベル。
これは能作の代表商品といえるベルの形をそのまま大きくしたものだ。
どんな音が鳴り響くのかは、実際に鳴らして試してほしい。
地味な部分だが、能作の新社屋のトイレを表すオブジェも、能作の商品の形をしている。
こういう目立たないちょっとしたこだわりもおもしろい。
駐車場にも、能作商品の印が…w
わざわざ白線で引いちゃうのがすごい。意外と大変なんじゃないかなぁ?w
能作の新社屋・工場へのアクセス
能作の新社屋へ行くには、車かバスを利用する必要がある。
その意味では、北陸新幹線できた観光客にとってはちょっとアクセスしにくいかもしれない。
車によるアクセス
・高岡砺波スマートICより車で5分
・高岡駅より車で20分
・新高岡駅より車で15分
バスによるアクセス
・新高岡駅より加越能バス(高岡法科大学線)で23分/高岡オフィスパーク下車徒歩3分
住所:富山県高岡市オフィスパーク8-1
TEL:0766-63-5080
営業時間:10:00~18:00
駐車場:普通22台、大型バス2台
まとめ
能作の新社屋・工場は、観光客、富山県民関係なく、是非とも一度は訪れて見てほしい場所だ。
富山の一企業がここまでの産業観光の施設を作れるのかと驚くこと間違いなし。
鋳物体験や工場見学にカフェと、1日の大半を楽しめる産業観光施設となっている。
富山のオススメの観光地としてミシュラン・グリーンガイドにも掲載。富山に新しい見所ができて嬉しい。
能作新社屋へ行けば、富山全体の観光案内情報を得られるのも観光客にとっては嬉しいポイントなのではないだろうか?
富山県民でも知らない場所や店の情報があるので、それを見ながら今夜の店や観光ルートを考えるのも一つの楽しみ方だ。